不安解消の一歩 夫婦でお金の話を始めるのに最適な「タイミング」と「場所」
夫婦でお金の話を始めるには「いつ」「どこで」話すかが大切です
将来のこと、日々の生活のこと、夫婦の間でお金について話すことは、お互いの理解を深め、将来への不安を解消するために非常に重要です。しかし、実際には「どう切り出せばいいのだろう」「いつ話せばいいのだろう」とためらってしまう方も少なくありません。お金の話が夫婦の間でタブーになってしまう原因の一つに、「話し始めるタイミングや場所が分からない」という点があるかもしれません。
適切なタイミングと場所を選ぶことは、お金に関する話し合いをスムーズに進めるための大切な準備です。今回は、夫婦でお金についてポジティブに話し合うために、どのようなタイミングや場所を選べば良いのか、そして具体的な切り出し方について考えていきましょう。
お金の話を始めるのに適した「タイミング」とは
お金の話は、夫婦にとってデリケートなテーマになりうるため、切り出すタイミングが話し合い全体の雰囲気を左右することがあります。
避けるべきタイミング
まず、避けたいタイミングをいくつかご紹介します。
- 夫婦どちらかが疲れている時: 仕事で疲れている時や、体調が優れない時に込み入った話をすると、感情的になりやすかったり、相手の話をじっくり聞く余裕がなかったりします。
- 時間がない時: 食事の準備中や、出かける直前など、時間に追われている時は、落ち着いて話すことができません。話が途中で中断してしまい、宙ぶらりんになってしまう可能性もあります。
- イライラしている時、機嫌が悪い時: 既に感情的になっている時に話すと、普段なら冷静に話せることも、つい言葉がきつくなってしまうことがあります。
選びたいタイミング
では、どのようなタイミングを選ぶのが良いでしょうか。
- 夫婦ともにリラックスしている時間: 休日の午後や、子供が寝た後など、お互いに心穏やかに過ごせる時間帯が適しています。ソファーでくつろぎながらなど、リラックスした姿勢で話せる時を選びましょう。
- 記念日や区切りの時: 結婚記念日や誕生日、年末年始など、夫婦のこれからについて自然と考えるような時期は、将来のお金の話を切り出しやすいタイミングです。「これからも一緒に色々頑張っていきたいから、少し将来のお金のこと話さない?」のように、前向きな理由で切り出しやすくなります。
- 大きなライフイベントの前: 住宅の購入や売却、子供の進学、転職、リタイアなど、将来に関わる大きなライフイベントが控えている時は、自然とお金の話の必要性が高まります。具体的なイベントをきっかけに、「〇〇のこと、少しお金の面も整理しておきたいね」と提案できます。
- 日常のふとした会話から派生: テレビやニュースで教育費や老後資金について目にしたり、友人との会話で家計の話が出たりした際に、「そういえば、うちも少し考えてみようか」と自然な流れで話し始めることも可能です。
最も重要なのは、「いつか話そう」ではなく、「いつ話すか」を具体的に決めることです。「来週の土曜日の夕食後に少し時間を作れる?」のように、あらかじめ夫婦で合意して時間を用意することで、お互いに心の準備ができます。
話し合いに適した「場所」とは
話し合いの「場所」も、会話の質に影響を与えます。落ち着いて、お互いの意見に耳を傾けられる場所を選びましょう。
避けるべき場所
- 人目のある場所: ファミリーレストランなど、周囲に人がいる場所では、プライベートなお金の情報について話しにくいですし、つい周りを気にして本音で話せなくなることがあります。
- 騒がしい場所: 騒がしい場所では、お互いの声が聞き取りにくく、集中して話すことができません。
選びたい場所
- 自宅のリビングや落ち着ける空間: 最もリラックスできるのは自宅です。リビングのソファーで、または寝室で、など、夫婦にとって最も心安らぐ空間を選びましょう。飲み物を用意するなど、少しだけ特別感を出すのも良いかもしれません。
- 静かで落ち着いたカフェなど: 自宅以外であれば、静かで落ち着いた雰囲気のカフェなども選択肢の一つです。いつもとは違う環境で話すことで、気分転換になり、建設的な話し合いができる場合もあります。ただし、あまり混雑しておらず、プライベートな会話がしやすい場所を選びましょう。
話し合いの環境を整えることは、リラックスして正直に話すためにとても大切です。
具体的な「切り出し方」のヒント
タイミングと場所を決めたら、いよいよ話の切り出し方です。相手が身構えないような、柔らかい言葉を選ぶことが大切です。
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「ちょっと相談したいことがあるんだけど」と前置きする: 「ねえ、今大丈夫?ちょっと相談したいことがあるんだけど。」 「〇〇君(さん)、来週の土曜日、夕食の後少し時間をもらえないかな?ちょっと話したいことがあって。」 このように「相談」という形で持ちかけると、相手も聞く姿勢になりやすくなります。
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具体的なテーマを提示し、相手の意向を尋ねる: 「最近、教育資金のこととかニュースでよく見るでしょう?うちも少し考えてみようかなと思うんだけど、一緒に話してみない?」 「そろそろ年末だし、来年の家計のこと、一度整理してみたいんだけどどうかな?」 具体的な話題を提示することで、相手も何について話すのかが分かり、心の準備ができます。また、「どうかな?」と相手の意向を尋ねることで、一方的に始める印象を与えずに済みます。
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「不安」や「気になっていること」を素直に伝える: 「私、正直言うと将来のお金のこと、漠然と不安に思っているんだ。」 「最近、支出が増えてきているのが少し気になっていて。」 自分の素直な気持ちを伝えることで、相手も共感しやすくなります。ただし、責めるような言い方にならないよう注意が必要です。
会話例
例1: 自然な切り出し方 妻「ねえ、今週末の夜、少し時間ある?」 夫「大丈夫だけど、どうしたの?」 妻「いや、最近、住宅ローンのこととか、周りの人がどうしてるのかなって少し気になってて。うちも一度、ちゃんと整理して話してみようかなと思って。」 夫「なるほどね。いいね、いつ話そうか。」
例2: 将来への不安から切り出す 夫「最近、何か考え事してる?」 妻「うん、実はちょっと将来のお金のこととか、漠然と不安で...。〇〇君(さん)と一緒に、一度ちゃんと考えてみたいんだ。」 夫「そっか、不安なんだね。どんなことが気になってるの?一緒に話してみよう。」
このように、相手を尊重し、話し合いの時間を共有したいという気持ちを伝えることが大切です。
話し合いの際のその他の工夫
話し合いの「タイミング」と「場所」を選び、上手に「切り出す」ことができたら、実際の話し合いを円滑に進めるための工夫も意識してみましょう。
- 短時間から始める: 最初から全てを話し合おうとせず、「今回はまずお互いの収入を共有する」「来週は家計の支出をざっくり把握する」など、小さなテーマから始めてみましょう。短時間で終えることで、お互いの負担も少なく、継続しやすくなります。
- お互いの意見を尊重する姿勢を持つ: 相手の意見に耳を傾け、理解しようと努める姿勢が大切です。たとえ意見が違っても、頭ごなしに否定せず、「そういう考え方もあるんだね」と一度受け止めることから始めましょう。
- 感情的になった場合の対処法を考える: 感情的になりそうだと感じたら、「ごめん、少し冷静になりたいから、一度休憩しようか」と提案することも有効です。また、話す前に「今日の話し合いで、もし感情的になりそうになったら、一度ストップして休憩することにしよう」などと夫婦でルールを決めておくのも良い方法です。事前に話したいことや質問したいことをリストアップしておくと、冷静に話を進めやすくなります。
小さな一歩が将来の安心につながります
夫婦でお金の話を始めることは、確かに勇気がいることかもしれません。しかし、適切なタイミングと場所を選び、相手への配慮を持って切り出すことで、話し合いはきっとスムーズに進むはずです。
最初から完璧を目指す必要はありません。まずは、お互いがリラックスできる環境で、短い時間でも良いので、気になっているお金のことについて話し始めてみましょう。その小さな一歩が、夫婦の将来の安心につながり、お互いの信頼関係をさらに深めることでしょう。定期的な話し合いを習慣にできるよう、今回ご紹介したヒントをぜひ活用してみてください。