なぜ今資産形成が必要?夫婦で納得して始めるお金の将来設計の話し合い方
超低金利時代、貯蓄だけでは不安を感じていませんか
銀行にお金を預けても、ほんのわずかな利息しかつかない時代が長く続いています。この状況下で、将来の教育費や自分たちの老後資金など、漠然としたお金への不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
多くのご家庭では、日々の生活費や緊急時の備えとして貯蓄に励んでいらっしゃることでしょう。しかし、物価が少しずつ上昇するインフレのリスクや、人生の長期化を考えると、「貯蓄だけでは十分だろうか」という疑問が頭をよぎるかもしれません。
こうした不安に対して、夫婦で率直にお金の話をすることは、将来への具体的な一歩を踏み出すために非常に重要です。特に「資産形成」という言葉を聞くと難しく感じたり、夫婦で意見が合わないのではないかと躊躇したりすることもあるかもしれません。しかし、これは特別な人たちだけが行うことではなく、将来を見据えるすべてのご夫婦にとって、真剣に話し合うべきテーマの一つです。
なぜ今、夫婦で資産形成について話し合うべきなのか
超低金利が続く背景には、経済状況の変化があります。かつてのような高い金利で貯蓄が増える時代ではありません。このような環境下では、貯蓄だけでなく、適切に資産を「働かせる」ことを考える必要性が高まっています。これが「資産形成」です。
そして、この資産形成について夫婦で話し合うことには、いくつかの重要な理由があります。
- 情報と認識の共有: 夫婦がお互いの資産状況、収入、支出、そして将来に対する考え方を共有することで、現在の家計全体を正確に把握できます。
- リスク分散と共通目標の設定: 資産形成にはリスクが伴う場合もあります。夫婦で話し合うことで、お互いのリスクに対する考え方を理解し、無理のない範囲で共通の目標を設定することができます。一人で抱え込まず、二人でリスクを分散し、支え合う体制を作れます。
- 協力体制の構築: 資産形成は長期にわたる取り組みです。夫婦で協力することで、モチベーションを維持しやすくなり、目標達成に向けて継続的に取り組むことができます。
- 漠然とした不安の具体化と解消: 「なんとなく不安」を具体的な数字や目標に変えることで、何をすれば良いかが見えてきます。話し合いを通じて不安の根源を共有し、具体的な対策を検討することで、精神的な安心感につながります。
夫婦で資産形成の話し合いを始める前の準備
いざ「資産形成について話し合おう」と思っても、何から手をつければ良いか分からないかもしれません。まずは、いくつかの基本的な準備から始めましょう。
- 現状の把握: 現在の預貯金、保険、住宅ローンやその他の借入など、夫婦それぞれの資産と負債をリストアップしてみましょう。収入と支出の状況も改めて確認します。これは、話し合いの出発点となります。
- 資産形成に関する基本的な知識の収集: 資産形成には貯蓄、投資信託、株式投資、不動産投資など様々な方法があります。全てを深く理解する必要はありませんが、それぞれの基本的な仕組みやリスク、リターンについて、専門的すぎない範囲で情報を集めてみましょう。インターネット上の信頼できる情報サイトや書籍、国の提供する情報などが参考になります。重要なのは、「こういう方法があるらしい」という共通認識を持つことです。
具体的な話し合いの切り出し方と進め方のコツ
準備ができたら、いよいよ話し合いです。感情的にならず、お互いを尊重しながら進めるためのコツをご紹介します。
1. 話し合いの場とタイミングを設定する
「ちょっと話があるんだけど」と突然切り出すよりも、「いついつの〇時に、将来のお金のことについて少し話したいんだけど、時間ある?」のように、事前にアポイントを取るように伝えると、相手も心の準備ができます。落ち着いて話せる週末のカフェや、自宅のリビングなどが良いでしょう。食後や寝る前など、リラックスしている時間帯を選ぶのも有効です。
2. 責めるのではなく「共有したい」姿勢で切り出す
話し合いを始める際は、「あなたがお金に無頓着だから不安なの」といった責めるような言い方ではなく、「将来のことについて、一緒に考えていきたいことがあるんだけど」「最近、超低金利のニュースを見て、うちの将来のお金のこと、少し気になることがあって…一緒に情報共有したいなと思って」のように、自分の感じていることや、一緒に考えていきたいという前向きな気持ちを伝えることから始めましょう。
会話例:
- 妻:「ねえ、最近ニュースで『貯蓄だけじゃ厳しい時代』ってよく聞くでしょう?あれを見て、うちの将来のお金のこと、少し気になることがあって。今度ゆっくり、今後のこと一緒に考えてみる時間作れないかな?」
- 夫:「最近、周りの友人がNISAとかiDeCoとかの話をしてて、うちも何か始めた方がいいのかなって少し気になってたんだ。一度二人でどんなものか調べて、話してみようか。」
3. まずはお互いの考えや不安を共有する
話し合いが始まったら、まずは「なぜ資産形成を始めたいのか」「どんな将来を目指したいのか」「どんなことに不安を感じているのか」など、お互いの率直な気持ちを共有しましょう。最初から具体的な方法論に踏み込む必要はありません。
話し合う内容の例:
- なぜ資産形成に興味を持ったのか、または不安を感じているのか
- 将来、どのくらいのお金が必要になりそうか(教育費、住宅、老後など)
- 現在の貯蓄状況についてどう思うか
- 資産を増やすことについて、どんなイメージを持っているか(良いイメージ、怖いイメージ)
- どれくらいのリスクなら受け入れられそうか
4. 具体的な方法論は、あくまで「方向性」から
お互いの考えや不安を共有し、「資産形成について一緒に考えていこう」という方向性が定まったら、次に具体的な方法論について話し始めます。しかし、最初から「〇〇投資をしよう」と決めつけず、「どんな方法があるか」「自分たちに合いそうなのはどれか」という視点で情報交換をするのが良いでしょう。
例えば、「貯蓄以外の方法も考えたいね」「少しリスクがあっても良いから、もう少し積極的に増やせる方法もあるみたいだよ」「でも、元本が減るのは怖いね」など、お互いの意見を出し合います。NISAやiDeCoといった制度についても、難しければ概要レベルで「こういう国の制度があるらしい」と共有するだけでも十分です。
5. 感情的になりそうな時の対処法
お金の話はデリケートなので、時には意見が対立したり、感情的になったりすることもあるかもしれません。そのような時は、一度冷静になる時間を取りましょう。
- 「少し頭を冷やそう」「また後で改めて話そう」と伝えて、一時中断する。
- 相手の意見を否定せず、「あなたはそう考えるんだね」と一度受け止める姿勢を持つ。
- 「〜な気がする」ではなく、「〜というデータを見たよ」「〜という本に書いてあったよ」のように、客観的な情報に基づいて話すように努める。
話し合いは一度で全てを解決するものではありません。根気強く、少しずつ進めていくことが大切です。
話し合いを通じて目指すこと
夫婦で資産形成について話し合う目的は、高利回りの投資方法を見つけることだけではありません。最も重要なのは、お互いの将来に対する考え方や不安を共有し、夫婦としてのお金の共通目標を持つことです。
- 共通理解: なぜ資産形成が必要なのか、どんな方法があるのか、どんなリスクがあるのか、夫婦で同じレベルで理解することを目指します。
- 共通目標: 「〇年後に〇〇のために〇〇円を貯める/増やす」のように、具体的な目標設定に向けて話し合います。この目標は、お互いが納得できる、無理のない範囲で設定することが重要です。
まとめ:夫婦の安心は、正直な話し合いから
超低金利という時代背景から生じる将来へのお金の不安は、多くの方が感じています。この不安を解消し、夫婦で共に安心して歩んでいくためには、資産形成というテーマについても正直に話し合うことが不可欠です。
最初の一歩は勇気がいるかもしれませんが、ご紹介したように、話し合いの場を設定し、責めずに共有したい気持ちを伝え、お互いの考えや不安を聞き合うことから始めてみてください。一度に全てを決めようとせず、少しずつ理解を深めていく姿勢が大切です。
夫婦で将来のお金について真剣に向き合い、共通の目標を持つことは、単に資産を増やすこと以上の価値があります。それは、夫婦間の信頼を深め、将来への安心感を共に育んでいくプロセスそのものです。ぜひ、今日からでも、夫婦でのお金の話し合いを始めてみませんか。