話が進まない...夫婦のお金の話がストップした時の乗り越え方
夫婦でお金について話し合おうと試みたものの、途中で話がストップしてしまったり、なかなか前に進まなくなってしまったりすることは少なくありません。最初は意気込んで始めてみたものの、意見の食い違いがあったり、感情的になってしまったり、あるいは単に面倒になってしまったりと、理由は様々です。
このような状況は決して特別なことではなく、多くのご夫婦が経験することです。大切なのは、そこで諦めてしまうのではなく、「なぜストップしてしまったのだろう?」と立ち止まり、再び話し合いを始めるための糸口を見つけることです。
なぜ、夫婦のお金の話はストップしやすいのでしょうか
夫婦間でお金の話がストップしてしまう背景には、いくつかの要因が考えられます。
一つは、感情的な対立です。お金の話は、生活の価値観や将来への不安と密接に関わるため、冷静さを保つのが難しい場合があります。ちょっとした言葉の行き違いから感情的になり、「もう話したくない」となってしまうことがあります。
次に、意見の食い違いの放置です。収入の使い方、貯蓄の目的、将来への考え方など、夫婦であっても意見が異なるのは当然です。しかし、その違いを乗り越える話し合いが進まず、「平行線だから仕方ない」と諦めてしまうケースです。
また、話し合いの目的やゴールの不明確さも原因となり得ます。「何のために話しているのか分からない」「結局どうしたいのか見えない」といった状態では、建設的な話し合いは続きにくいでしょう。
さらに、一方だけが熱心で、もう一方が関心を示さない、あるいは面倒だと感じている場合も、話は自然と途絶えてしまいます。
ストップしたお金の話を再び始めるための準備
一度ストップしてしまったお金の話を再開するには、少しの準備が必要です。
まずは、原因を冷静に振り返ってみましょう。なぜ話が止まってしまったのか、自分自身に問いかけてみます。パートナーの態度に原因があると感じるかもしれませんし、自分の話し方に課題があったと感じるかもしれません。どちらか一方に非があるのではなく、「夫婦間のコミュニケーションとして、どこに難しさがあったのか」という視点で捉えることが大切です。
次に、話し合いの「目的」を再確認します。なぜ、夫婦でお金の話をしたいのでしょうか。漠然とした不安を解消するため、将来の計画を具体化するため、お互いを理解し合うためなど、本来の目的に立ち返ることで、話し合いの重要性を再認識できます。
そして、「完璧を目指さない」と心に留めます。一度の話し合いで全てが決まるわけではありませんし、全ての意見が一致する必要もありません。少しずつ、小さなことから共有し、理解を深めていく姿勢が、再開へのプレッカンを減らします。
再び話し合いを切り出す具体的なステップ
準備ができたら、いよいよパートナーに声をかけてみましょう。
- きっかけを探る: 普段の会話の中で、相手がリラックスしているタイミングを見計らいます。例えば、一緒にテレビを見ている時、食事中、散歩中など、構えずに話せる瞬間が良いでしょう。
- 非難ではない姿勢を示す: 「この間のお金の話、うまく進まなかったけど、また少し話してみないかな?」「あの時、少し感情的になっちゃったかもしれないんだけど、改めて一緒に考えてみたいことがあるんだ」のように、過去を責めるのではなく、未来に向けて一緒に考えたい、という姿勢を示します。
- 短時間・ピンポイントから始める: 最初から長い時間を取ろうとせず、「5分だけ」「これだけ聞きたいんだけど」というように、ハードルを下げて提案します。「来月の貯蓄目標について、ちょっとだけ相談できる?」といった具体的なテーマを提示するのも効果的です。
会話例:
「ねえ、この間のお金の話、ちょっと難しかったけど、また時間がある時、少しだけ続きを話せないかな?あの時、私もちょっと言葉が足りなかったかもしれないんだけど、一緒に考えていけたらと思って。」
「前に話したこと、どうしても気になってて。難しいことじゃなくて良いから、例えば、来月のご飯代のことだけでも、一緒に見直してみる時間、作れないかな?」
再び話し合いを進める上での大切なコツ
再開した話し合いをスムーズに進めるためには、いくつかのコツがあります。
- 相手の意見を「聞く」ことに集中する: まずは、自分の意見を主張するよりも、パートナーが何を考えているのか、なぜそう感じるのかをじっくり聞く姿勢を持ちます。相槌を打ったり、相手の言葉を繰り返したりしながら、「あなたの話を理解しようとしています」というメッセージを伝えます。
- 「私は〜と感じる」という表現を使う: 相手を主語にした「あなたはいつも〜だ」という言葉は、非難に聞こえがちです。「〜について、私は少し不安を感じています」「〜してもらえると、私は安心できます」のように、自分の感情や考えを伝える「アイメッセージ」を意識します。
- 一度にすべてを決めようとしない: お金に関する課題は多岐にわたります。一度の話し合いで全てを解決しようとせず、今回は「現状把握だけ」「来月の予算だけ」というように、テーマを絞ります。
- 話し合いのルールを設ける: 話が逸れそうになったら元に戻す、お互いの話を途中で遮らない、否定的な言葉を使わないなど、事前に簡単なルールを決めておくと、感情的になるのを防ぐ助けになります。
もし再び感情的になってしまったら
せっかく再開したのに、また感情的になりそうになったらどうすれば良いでしょうか。
最も有効なのは、一時中断することです。「ごめん、少し頭を冷やしたいから、10分だけ休憩しよう」「今、少し感情的になってしまいそうだから、この話は明日にしない?」のように、素直に伝えて話し合いを中断します。無理に続けようとすると、かえって状況を悪化させることがあります。
休憩中や、後日改めて話す際には、「あの時、私は〜という言葉を聞いて、〜という気持ちになったんだ」「少し冷静になれなくてごめんね」のように、お互いの感情について穏やかに振り返る時間を設けることも有効です。
どうしても二人だけでは難しい場合
夫婦二人だけで話し合うのが、どうしても難しいと感じることもあるでしょう。そのような場合は、専門家であるファイナンシャルプランナー(FP)など、第三者のサポートを検討することも一つの方法です。専門家は、お金に関する知識を提供するだけでなく、中立的な立場で夫婦間の話し合いをサポートし、建設的な方向へ導く手助けをしてくれます。
まとめ
夫婦でお金の話がストップしてしまうことは、決して珍しいことではありません。大切なのは、そこで諦めず、再び話し合いを始めるための「小さな一歩」を踏み出すことです。
なぜ話が止まってしまったのかを振り返り、話し合いの目的を再確認し、非難ではない言葉で、短時間から切り出してみましょう。そして、相手の話を丁寧に聞き、自分の気持ちを正直に伝えることを意識します。もしまた難しくなっても、一時中断するなど無理をしないことが継続の鍵です。
夫婦でお金について向き合うことは、時にエネルギーが必要ですが、お互いの理解を深め、将来への漠然とした不安を具体的な安心感に変えていくための大切なプロセスです。少しずつでも歩みを進めることで、きっと夫婦関係の信頼もさらに深まっていくことでしょう。