夫婦でスッキリ!趣味・娯楽費とお小遣いの適切な予算と話し合い方
夫婦でお金の話を始める際、まず思い浮かぶのは「将来のために貯金をどう増やすか」「大きな買い物のためにいくら準備するか」といった、少し重たいテーマかもしれません。もちろん、これらも非常に重要です。しかし、もっと身近で、日々の暮らしの満足度に関わるお金の話があります。それは、夫婦で楽しむためのお金、そして、それぞれが自由に使えるお金、つまり「趣味・娯楽費」や「お小遣い」についてです。
実は、この趣味・娯楽費やお小遣いに関する話し合いが、夫婦のお金に対する価値観を知り、お互いを理解するための良いきっかけとなることがあります。ここがスッキリすると、他の大きなお金の話もスムーズに進みやすくなる場合が多いのです。
なぜ趣味・娯楽費とお小遣いの話し合いが必要なのか
夫婦でお金の話をタブーにせず、オープンに話し合うことの重要性は広く認識されています。しかし、収入や支出、貯蓄といった基本的な項目だけでなく、趣味・娯楽費やお小遣いのような「使う楽しみ」に関するお金についても話し合うことには、いくつかの大切な理由があります。
- 価値観の共有と理解: 人によって、お金をかける優先順位は異なります。一方は趣味に惜しみなく使いたいと考えるかもしれませんし、もう一方は将来のために節約を優先したいと考えるかもしれません。趣味・娯楽費やお小遣いに関する話し合いは、お互いの「何にお金を使いたいか」「お金を使うことで何を得たいか」といった価値観を知る絶好の機会となります。この価値観の違いを理解し、尊重することが、夫婦間の信頼関係を深めることに繋がります。
- 漠然とした不安の解消: 「私たちはこのままの生活で大丈夫なのだろうか」「将来のために、もっと節約すべきでは?」といった漠然とした不安を感じることは少なくありません。趣味や娯楽に使うお金についても、「使いすぎているのでは」「もっと他に回すべきでは」といった迷いが生じることがあります。夫婦で具体的な予算について話し合うことで、現状を把握し、「何にいくらまでなら使えるか」を明確にできます。これにより、安心して日々の生活や趣味を楽しむことができるようになり、漠然とした不安の軽減に繋がります。
- 将来の目標との両立: 将来の教育費や老後資金といった目標を達成するためには、計画的な貯蓄や投資が必要です。しかし、現在の生活の満足度も大切です。趣味や娯楽は、生活に彩りを与え、日々のストレスを軽減する役割も果たします。将来の目標達成と現在の生活の質の維持、この両立を図るためには、趣味・娯楽費やお小遣いについても予算を明確に設定し、コントロールすることが重要です。
趣味・娯楽費とお小遣いの話し合いを始めるステップ
では、具体的にどのように話し合いを進めれば良いのでしょうか。デリケートに感じやすいテーマだからこそ、焦らず段階的に進めることが大切です。
ステップ1:話し合いのきっかけを見つける
お金の話そのものを切り出すのが難しいと感じる場合、趣味や娯楽に関する話題から自然に話し合いに繋げることができます。 例えば、
- 最近気になるイベントや旅行の話題から、「これに行くのに、うちの家計でどれくらい費用をかけられるかな?」と問いかけてみる。
- お互いの趣味について、「最近、これにいくらくらい使ってる?」と軽いトーンで尋ねてみる。
- 「将来、こういうことがしたいね(旅行、習い事など)」という夢を語り合い、「それにはどれくらいお金がかかるかな?」と考えてみる。
これらのきっかけから、「私たちのお金の使い方について、一度全体像を話し合ってみない?」といった流れに持っていくことができます。
ステップ2:現状のお金の使い方を共有する
まずは、現在それぞれが趣味や娯楽、個人的な買い物にどのくらいお金を使っているかを共有します。レシートを確認したり、家計簿アプリを使ったりして、正直に洗い出してみましょう。この段階では、善悪を判断したり、相手を責めたりせず、あくまで現状把握に徹することが重要です。
- 「私の場合は、毎月大体これくらいを趣味に使っているみたい」
- 「〇〇さんの最近の出費で、娯楽に関するものはどんな感じ?」
のように、事実を伝え合うことに集中します。
ステップ3:お互いの理想と価値観を共有する
次に、「本当はどのくらい趣味や娯楽にお金を使いたいか」「何のためにお金を使いたいか」といった、お互いの理想や価値観を共有します。
- 「本当はもう少し趣味に時間をかけたい(お金をかけたい)と思ってるんだけど、家計の状況が分からなくて踏み出せないんだ」
- 「私は節約も大事だと思うけど、年に一度くらいは旅行に行ってリフレッシュしたいな」
- 「個人的に自由に使えるお金が、ある程度あると安心できる」
のように、自身の気持ちや考えを正直に伝えましょう。相手の意見も否定せず、じっくり聞く姿勢が大切です。
ステップ4:予算設定について考える
現状と理想、そして家計全体の状況を踏まえ、趣味・娯楽費やお小遣いの予算について具体的に考えます。 予算を設定する際の考え方としては、
- 手取り収入に対する割合: 収入の一定割合(例えば、手取りの5%や10%など)を趣味・娯楽費やお小遣いとして確保するという考え方です。
- 固定費・変動費を差し引いた残り: 住居費、光熱費、食費といった必須の支出を賄った上で、いくら残るかを確認し、その一部または全部を充てるという考え方です。
- 将来の貯蓄目標とのバランス: 将来のために毎月確保したい貯蓄額や投資額を設定し、それが家計全体で可能なのかを検討した上で、趣味・娯楽費やお小遣いの予算を調整します。
これらの考え方を参考に、「我が家にとって無理のない金額はどれくらいだろうか」と夫婦で一緒に検討します。
ステップ5:管理方法を決める
予算が決まったら、そのお金をどのように管理するかを決めます。
- 共通口座から定額を移す: 毎月決まった金額を共通の口座からそれぞれの個人口座に移す方法。管理がシンプルです。
- 特定の費目として管理: 家計簿上で「趣味・娯楽費」「夫小遣い」「妻小遣い」といった費目を作り、その範囲内で使うように管理する方法。
- レシートや記録で確認: 使った分だけを記録し、予算内に収まっているかを確認する方法。
- 都度相談: 高額な趣味の出費や旅行などについては、事前に相談して決めるという方法。
夫婦の性格や家計の状況に合わせて、続けやすい方法を選びましょう。大切なのは、お互いが納得して取り組めるルールにすることです。
話し合いの際のコツと注意点
趣味・娯楽費やお小遣いの話は、お金に関する他のテーマと同様に、話し方の工夫が鍵となります。
- 感情的にならない: 相手のお金の使い方に対して、不満や批判的な感情を抱くことがあるかもしれません。しかし、感情的な言葉は避け、落ち着いて事実や自身の考えを伝えるように心がけましょう。話し合いの目的は、どちらが正しいかを決めることではなく、お互いが納得できるルールを作ることです。
- 相手の価値観を尊重する: 自分が理解できないようなお金の使い方であっても、まずは「相手にとってそれがなぜ大切なのか」を理解しようと努める姿勢が重要です。「なぜそんなことにお金を使うの?」ではなく、「〇〇さんは、あの趣味からどんな楽しみを得ているの?」のように、興味を持って尋ねてみましょう。
- 具体的な会話例を取り入れる: 抽象的な議論だけでなく、具体的な金額や状況を想定した会話をすることで、お互いの考えが明確になります。
- 夫:「僕のゴルフにかかる費用、毎月結構いってると思うんだけど、どう思う?」
- 妻:「確かに。でも、それが〇〇さんの大切なリフレッシュの時間になってるなら良いと思う。ただ、家計全体で見て無理がないか、一度計算してみようか?」
- 妻:「私の洋服代、今月ちょっと使いすぎちゃったみたい。〇〇さんは個人的に自由に使えるお金、どうしてる?」
- 夫:「僕は月に〇円くらいを目安にしてるよ。でも、〇〇さんが何にどれくらい使いたいか、一度一緒に考えてみようか」 このような具体的なやり取りを通じて、お互いの感覚を擦り合わせることができます。
- 定期的な見直し: 一度決めた予算や管理方法も、時間の経過やライフステージの変化によって見直す必要が出てきます。半年に一度や一年に一度など、定期的に話し合う機会を設けることを習慣化すると良いでしょう。
まとめ
夫婦で趣味・娯楽費や個人的なお小遣いについて話し合うことは、単に家計の管理方法を決めるだけでなく、お互いの価値観を理解し、将来の目標と現在の生活のバランスを取るための大切なプロセスです。この話し合いを通じて、夫婦間の信頼関係はさらに深まり、お金に関する漠然とした不安も具体的な計画へと変わっていくでしょう。
このテーマは、比較的気軽に始められるお金の話の第一歩としても適しています。ぜひ、お互いを尊重し、前向きな気持ちで話し合いを始めてみてください。最初は難しく感じるかもしれませんが、小さな一歩が、夫婦でスッキリとしたお金との向き合い方を見つけることに繋がるはずです。