漠然とした不安を希望へ 夫婦で考える資産形成のはじめ方
夫婦で考える資産形成 なぜ今、話し合いが必要なのでしょうか
将来のお金について、漠然とした不安を感じている方は少なくないでしょう。子どもの教育費、自分たちの老後資金、住宅ローン返済など、考えるべきことは多くあります。こうした不安を和らげ、将来の選択肢を広げる手段の一つとして、資産形成への関心が高まっています。
しかし、「資産形成」や「投資」と聞くと、難しそう、損をするかもしれない、といったイメージを持たれることもあるかもしれません。そして何より、それを夫婦でじっくり話し合う機会を持てていない、どう切り出せば良いか分からない、と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
お金の話は時に感情的になりがちで、夫婦間でも避けられがちなテーマです。特に資産形成のような新しい話題は、どう話し合えば良いか迷うこともあるでしょう。この記事では、夫婦で資産形成についてポジティブに話し合いを始め、一歩を踏み出すための具体的なステップとヒントをご紹介します。
夫婦で資産形成について話し合う重要性
なぜ、資産形成について夫婦で話し合うことが大切なのでしょうか。それは、将来の目標やリスクに対する考え方を共有し、お互いが納得した上で取り組むことが、継続的な資産形成には不可欠だからです。
- 共通理解と目標設定: 夫婦で将来どのような暮らしをしたいのか、そのためにはどのくらいのお金が必要になりそうか、といった目標を共有することで、資産形成の目的が明確になります。
- リスクの共有と分散: 資産形成にはリスクが伴うものもあります。リスクを理解し、どこまで許容できるかを夫婦で話し合うことで、不安を軽減し、適切な資産配分や方法を選ぶことができます。
- 協力体制の構築: 一方が一方的に進めるのではなく、夫婦で協力して情報収集したり、定期的に進捗を確認したりすることで、より計画的に、そして継続的に資産形成に取り組むことができます。
- 将来の選択肢を広げる: 夫婦で話し合い、共通認識を持って資産形成に取り組むことは、将来の教育プラン、働き方、住まいなど、様々なライフイベントにおける選択肢を増やすことにつながります。
資産形成の話し合いを始める前の準備
本格的な話し合いを始める前に、いくつか準備をしておくとスムーズに進みやすくなります。
- お互いの現状を把握する: 現在の収入、支出、貯蓄額、負債（住宅ローンや奨学金など）を夫婦で共有しましょう。すでに取り組んでいる貯蓄や投資があれば、それもリストアップします。これは、将来へ向かうためのスタート地点を確認する作業です。
- 資産形成に関する興味や知識レベルを確認する: 相手が資産形成についてどのくらい知っているか、どのくらい興味があるかを探ってみましょう。「最近ニュースでNISAって聞くけど、どういうものか知ってる？」「将来のために、少しでもお金を増やせないかなと思って」といった問いかけから始めることができます。
- 話し合いのテーマを限定する: 最初から「どの銘柄に投資するか」といった具体的な話をする必要はありません。まずは「なぜ資産形成に関心を持ったのか」「将来のためにどのくらいのお金が必要になりそうか」といった漠然としたテーマから始めましょう。
具体的な話し合いの切り出し方と進め方
では、実際にどのように話し合いを始めれば良いのでしょうか。
切り出し方のヒント:
- 「将来のことを一緒に考えたいんだけど、少し時間ある？」
- 「最近、子どもの将来について考えることがあって、お金のこと気になるんだ」
- 「テレビやネットで資産形成の話を聞く機会が増えて、二人で考えてみたいと思ったんだけど」
- 「漠然と将来が不安で、具体的な目標を立てるために、一度お金の話をしない？」
このように、責めるような口調ではなく、自分の気持ちや考えを素直に伝えることから始めます。「あなたがお金に無関心だから」といった表現は避けましょう。
話し合いの進め方のコツ:
- 場所と時間を設定する: 自宅でゆっくり話せる時間、または少し気分を変えてカフェなどで話すのも良いでしょう。他の用事を気にせず、集中できる環境を選びます。
- まずは聞く姿勢を持つ: 相手が資産形成についてどのようなイメージを持っているのか、不安に思っていることはないか、丁寧に耳を傾けましょう。頭ごなしに否定したり、「こうすべきだ」と決めつけたりしないことが大切です。
- 感情的にならないためのルール: もし話し合いが白熱しそうになったら、「一旦休憩しよう」「今日はここまでにして、また別の日に話そう」と切り替えられるように、あらかじめ二人でルールを決めておくのも有効です。
- お互いの「知っていること」「知らないこと」「興味があること」を共有する: 資産形成の方法には、貯蓄、保険、不動産、株式、投資信託など様々なものがあります。お互いが知っている範囲や、もう少し詳しく知りたいと思うことを出し合ってみましょう。
- 具体的な会話例：
- 夫：「最近、友達がNISAを始めたって聞いて、自分たちも考えた方がいいのかなと思ってるんだけど、どう思う？」
- 妻：「NISAね。私も名前は聞くけど、実際どういうものかよく分からなくて。少し難しそうだなってイメージかな。」
- 夫：「そうだよね。俺も詳しいわけじゃないんだけど、銀行に預けておくだけじゃ増えないって聞くし、将来の教育費とか老後資金とか考えると、何かしないとって気になってて。」
- 妻：「うん、それは私も漠然と考えてた。でも、急にまとまったお金を用意するのも大変だし、何から始めたらいいんだろうね？」
- 夫：「まずはどんな方法があるのか、二人で一緒に調べてみない？例えば、本を読んでみるとか、ネットで信頼できる情報サイトを見てみるとか。」
- 妻：「いいね。いきなり始めるのは怖いから、まずは知ることから始めたいな。」
- 夫：「じゃあ、次の週末にでも、二人で少し時間作って、どんな方法があるかとか、それぞれどう違うのかとか、一緒に調べてみることから始めてみようか。」
このような会話から、お互いの関心や不安、知識レベルを共有し、次のアクションを決めることができます。
最初は何を話し合えば良いか？ 話し合う内容の例
資産形成について話し合う際に、具体的にどのようなことから話を進めれば良いか、テーマの例をいくつか挙げます。
- 資産形成の目的: なぜ資産形成をしたいのか？ （例：子どもの教育費、自分たちの老後資金、将来の住み替え、早期リタイアなど）
- 現在の家計状況: 毎月の収入、支出、貯蓄に回せる金額はどのくらいか。無理のない範囲で資産形成に回せる「余裕資金」はどのくらいあるか。
- 資産形成の方法の候補: NISAやiDeCoといった税制優遇制度、投資信託、株式、不動産など、様々な方法があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットについて、分かるところまで話し合ってみましょう。（例：「NISAって非課税らしいけど、どういう仕組みなの？」「投資信託と株式って何が違うの？」など）
- リスクに対する考え方: 元本割れする可能性を受け入れられる範囲はどのくらいか。リスクを抑えたいのか、ある程度のリスクを取ってでもリターンを目指したいのか、お互いの考えを確認します。
- 情報収集の方法: 今後どのように情報収集を進めるか。（例：本を読む、信頼できるウェブサイトを見る、セミナーに参加する、FP（ファイナンシャルプランナー）に相談するなど）
最初から全てを決めようとせず、まずは「何を知りたいか」「何に不安を感じるか」を共有することから始めましょう。
話し合いが難航した場合の対処法
資産形成の話は、お金の価値観やリスク許容度など、夫婦でも意見が分かれやすいテーマです。もし話し合いが難航したり、感情的になりそうになったりした場合は、無理に続けず、一旦中断することも重要です。
- 休憩を挟む: 一度冷静になるために、少し時間をおきましょう。
- 次の機会を設ける: 「今日のところは一旦ここまでにして、また来週の同じ時間に続きを話さない？」のように、次の話し合いの機会を設定します。
- 情報収集を分担する: 「じゃあ、次の話し合いまでに、〇〇についてそれぞれ調べてみない？」のように、情報収集を分担するのも有効です。
- 専門家の意見を聞く: 必要に応じて、ファイナンシャルプランナーなどお金の専門家に相談することも検討しましょう。第三者の客観的な視点や専門知識が、夫婦間の話し合いを円滑に進める手助けになることもあります。
まとめ：小さな一歩が将来の安心につながる
夫婦で資産形成について話し合うことは、決して簡単なことではないかもしれません。しかし、将来への漠然とした不安を共有し、具体的な希望へと変えていくための大切な一歩です。
最初から完璧を目指す必要はありません。まずは「将来のために、少しでもお金を動かしたいね」という共通の意識を持つこと、そして「どんな方法があるんだろう？」と一緒に調べてみることから始めてみましょう。
夫婦でじっくり向き合い、お互いの考えや不安を分かち合いながら進めることで、将来のお金の計画に対する安心感が増し、夫婦関係の信頼もより一層深まるでしょう。小さな一歩が、明るい未来につながることを願っています。