不安を具体的な目標に!夫婦で描く将来のお金と話し合い方
夫婦で将来のお金について話せていますか
多くの方が、漠然とした将来のお金に対する不安を抱えているかもしれません。特に、お子様の教育費、住宅ローンの返済、そして自分たちの老後資金など、人生には大きなお金が必要となるライフイベントが複数あります。これらのことについて、夫婦で具体的に話し合い、共通の認識を持つことはできていますでしょうか。
将来のお金のことを考えるとき、「一体いくら必要なのだろう」「どうやって準備すれば良いのだろう」といった疑問や不安が頭をよぎるかもしれません。そして、その不安をどう切り出して良いか分からず、夫婦間でお金の話がタブーになってしまうことも少なくありません。
しかし、漠然とした不安は、夫婦で具体的な目標を共有し、話し合うことで和らげることができます。これは、単にお金を管理するという話だけではなく、お互いの将来に対する価値観や夢を理解し合う機会でもあります。この記事では、夫婦で将来のお金の目標を設定し、建設的に話し合うための具体的なステップと、話し合いを円滑に進めるためのヒントをご紹介します。
なぜ将来のお金の目標を夫婦で話し合う必要があるのか
将来のお金の目標を夫婦で話し合うことは、いくつかの重要な理由があります。
まず、漠然とした不安を具体的な課題に変えるためです。将来について一人で考え込んでいると、不安はどんどん膨らんでしまうことがあります。しかし、「子どもが大学に行く時期には〇〇円くらい必要になりそうだ」「老後は毎月〇〇円くらいの生活費を見込んでおきたい」といった具体的な金額や時期を夫婦で共有することで、不安が「どう準備すれば良いか」という建設的な課題に変わります。
次に、夫婦それぞれの価値観や考えを共有するためです。お金に関する考え方や価値観は、育った環境や経験によって異なります。将来に対する夢や優先順位も夫婦で違う可能性があります。例えば、片方は子どもの教育に惜しみなくお金をかけたいと考えている一方で、もう片方は早期リタイアして趣味に時間を使いたいと考えているかもしれません。これらの違いを理解し、お互いの考えを尊重しながら共通の目標を見つけることが大切です。
さらに、目標達成に向けた協力を得るためです。夫婦で共通の目標を持つことで、お互いに協力し合いながら貯蓄や資産運用に取り組むことができます。一人で頑張るよりも、二人で力を合わせた方が、目標達成の可能性は高まります。
夫婦で将来のお金の目標設定に向けた話し合いを始めるステップ
将来のお金の目標について話し合うことは、難しく感じるかもしれませんが、いくつかのステップを踏むことでスムーズに進めることができます。
ステップ1:話し合いの場を設定する
まずは、落ち着いて話せる時間と場所を確保しましょう。テレビを消し、スマートフォンを一時的に脇に置くなど、集中できる環境を整えます。週末の夜や、休日の午後など、夫婦ともにリラックスできる時間帯を選ぶのが良いでしょう。最初から長い時間を設定する必要はありません。30分でも1時間でも構いません。
ステップ2:お互いの「こうしたい」を共有する
将来のお金の目標を考える前に、まずは将来のライフプランや、夫婦それぞれが大切にしたいことを共有しましょう。例えば、「将来は田舎でのんびり暮らしたい」「子どもには海外留学を経験させてあげたい」「年に一度は家族で海外旅行に行きたい」「〇〇歳までには住宅ローンを完済したい」など、漠然とした希望でも構いません。お互いの夢や価値観を知ることで、お金の目標設定の方向性が見えてきます。
ステップ3:将来発生しうる大きな支出を洗い出す
次に、将来のライフプランで考えられる大きなお金が必要になるイベントを具体的に洗い出します。
- 教育費: お子様の進路(大学までか、大学院までかなど)、公立か私立か、留学の希望など。
- 住宅関連費用: 住宅ローンの返済計画、リフォーム、住み替えなど。
- 車関連費用: 車の買い替え時期と予算。
- レジャー・趣味: 旅行、趣味に使う費用。
- 親の介護・扶養: 将来的に発生する可能性のある費用。
- 自分たちの老後資金: 何歳まで働き、何歳から年金生活に入るか、どんな生活を送りたいかなど。
これらのイベントについて、おおよその時期と金額を夫婦で考えてみましょう。完璧な数字を出す必要はありません。インターネットや書籍などで一般的な費用を調べ、目安として設定します。
ステップ4:目標金額を設定し、現状との差を確認する
洗い出した支出を整理し、例えば「〇年後までに教育資金として〇〇円を貯めたい」「〇歳までに老後資金として〇〇円を準備しておきたい」といった具体的な目標金額を設定します。
次に、現在の貯蓄や収入、支出を考慮して、目標達成までに「あといくら必要なのか」「毎月(毎年)いくら貯める必要があるのか」を確認します。現状を「見える化」することで、目標と現実の間のギャップを認識できます。
ステップ5:目標達成のための具体的なアクションを話し合う
目標金額と現状の差が分かったら、その差を埋めるための具体的なアクションについて話し合います。
- 毎月の貯蓄額を増やすことができるか
- 固定費(通信費、保険料など)を見直して支出を減らせるか
- 収入を増やす方法(副業、昇進など)はあるか
- 資産運用(NISAやiDecoなど)を始めるか、見直すか
これらの選択肢について、夫婦で意見を出し合い、無理のない範囲で取り組めることを決めます。
建設的に話し合うためのヒント
お金の話はデリケートになりがちですが、いくつかの点に気をつけることで、より建設的な話し合いにすることができます。
- 相手を責めない、否定しない: 過去のお金の使い方や現在の状況について、相手を非難するような言い方は避けましょう。「どうしてこんなに使ったの?」ではなく、「これからのこと、一緒に考えていきたいんだけど、どうかな?」のように、未来志向で協力的な姿勢を示すことが大切です。
- 「〜についてどう思う?」と問いかける: 自分の意見を押し付けるのではなく、相手の考えを聞く問いかけを使いましょう。「〜について、あなたはどう考えてる?」と相手に考える機会を与えることで、話し合いに参加しやすくなります。
- 感情的になりそうになったら休憩する: 話し合いが感情的になりそうになったら、一度中断することも有効です。「少し頭を冷やそうか」「続きはまた明日話そう」と提案し、冷静になってから再開することで、冷静な話し合いに戻ることができます。
- 完璧を目指さない: 一度の話し合いで全ての目標設定とアクションプランを完璧に決める必要はありません。最初は漠然としたイメージの共有から始め、少しずつ具体化していくことも大切です。
- 定期的に見直す: 一度話し合って終わりではなく、年に一度など、定期的に話し合いの時間を持つようにしましょう。ライフプランや社会情勢の変化に応じて、目標や計画を見直すことが必要になります。
まとめ
夫婦で将来のお金について目標を設定し、話し合うことは、決して難しいことばかりではありません。それは、夫婦がお互いの将来に対する思いを知り、理解を深めるための貴重な機会です。漠然とした不安を抱え続けるのではなく、具体的な目標を設定し、一歩ずつでも夫婦で話し合いを進めてみましょう。
将来のお金のことを共有し、協力して取り組むことは、夫婦の信頼関係をより一層深め、共に前向きに将来を歩むための力強い一歩となるはずです。この記事でご紹介したステップやヒントが、皆さんが夫婦でお金について話し始めるきっかけとなれば幸いです。