夫婦で家計管理ツールについて話し合う はじめ方と続けるヒント
漠然とした将来への不安や、夫婦でお金の話をどう切り出せば良いか悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。お金の話は夫婦にとって時に sensitive なテーマになりがちですが、安心して未来を考えるためには避けて通れない道です。
その第一歩として、夫婦で一緒に家計管理ツールについて話し合い、活用を始めることは、お金の状況を「見える化」し、共通認識を持つ上で非常に有効な手段となり得ます。
なぜ今、夫婦で家計管理ツールについて話し合う必要があるのか
家計管理ツール、例えばスマートフォンアプリやパソコンの表計算ソフト、あるいはシンプルなノートなど、様々なものがありますが、これらを夫婦で活用することにはいくつかのメリットがあります。
まず、最も大きなメリットは、夫婦それぞれのお金の使い道や収入が「見える化」されることです。現在の家計状況が明確になることで、漠然とした不安が具体的な数字に変わり、対策を立てやすくなります。
次に、お金に対する夫婦の価値観や習慣の違いを理解するきっかけになります。お互いの状況を知ることで、「なぜこの支出があるのか」「何に価値を感じているのか」といった話し合いが生まれ、理解が深まります。
さらに、共通のツールを使うことで、お金の話をする際の具体的な共通言語が生まれます。「アプリで見ると、今月は外食費が少し多かったね」「この項目は将来のために貯蓄に回せそうだね」といったように、データに基づいた冷静な話し合いが進めやすくなります。
夫婦で家計管理ツール活用を始めるための話し合いステップ
家計管理ツールの活用を始めるにあたって、まずは夫婦で話し合う時間を設けることから始めましょう。
ステップ1:話し合いの場を設ける
リラックスできる時間や場所を選び、「最近、将来のお金のことが少し気になっていて、一度一緒に家計のことを考えてみないかな」など、穏やかな言葉で切り出してみてください。責めるような言い方や、一方的に進めようとする態度は避け、あくまで「一緒に考えていきたい」という姿勢を示すことが大切です。
例えば、このような会話から始めることができます。
妻「ねえ、ちょっと相談があるんだけど、いいかな?」 夫「どうしたの?」 妻「最近、テレビとかで老後の話とかを聞くことがあって、私たちのお金のこと、一度ちゃんと見てみたいなって思ってるんだ。一緒に考えてくれない?」
ステップ2:なぜツールを使いたいのか、メリットを共有する
なぜ家計管理ツールを使ってみたいのか、その理由や期待する効果を共有しましょう。
妻「今の家計がどうなってるか、あんまりよく分かってなくて、それが少し不安なんだ。家計簿アプリとかを使えば、何にどれくらいお金を使ってるのかが分かるみたいだよ」 夫「なるほど、確かにどんぶり勘定なところはあるかもね。具体的に分かれば、無駄も減らせるのかな」 妻「そうそう。それに、二人で一緒に見ることができれば、お互いの状況も分かって、将来の貯蓄目標とかも立てやすくなるんじゃないかと思って」
お互いが納得感を持つことが、継続への大切な一歩となります。
ステップ3:どんなツールが合いそうか話し合う
世の中には様々な家計管理ツールがあります。スマートフォンで手軽に入力できるアプリ、パソコンで詳細に管理できる表計算ソフト、あるいは手書きのノートなど、それぞれの夫婦のライフスタイルや得意なことに合わせて選ぶことができます。
アプリの中には、銀行口座やクレジットカードと連携して自動的に入出金を記録してくれる便利な機能(自動連携機能)を持つものもありますが、手入力の方がお金を使っている意識が高まると感じる方もいらっしゃるかもしれません。
たくさんの機能があっても使いこなせなければ意味がありません。まずはシンプルなものから試してみるのも良いでしょう。
夫「家計簿アプリって色々あるみたいだけど、どんなのが便利なの?」 妻「銀行とかクレジットカードと連携できるアプリだと、自分で入力する手間が省けるみたいだよ。手軽で続けやすいんじゃないかな」 夫「それはいいね。でも、僕は手書きで書く方が頭に入る気がするんだけど、そういうのはどう?」 妻「それも良いと思うよ。一緒に使いやすそうなものを探してみようか」
夫婦で「どんな方法なら続けられそうか」「どこまで細かく記録したいか」といった点を話し合い、お互いが納得できるツールを選びましょう。
ステップ4:どう運用していくか具体的に決める
ツールを決めたら、実際にどのように運用していくかを具体的に話し合います。
- 誰が入力するのか?(担当を決める、あるいは分担する)
- どう情報を共有するのか?(同じアカウントを使う、定期的に画面を見ながら話すなど)
- いつ、どのくらいの頻度で家計を見るのか?(週に一度、月に一度など)
- 目標(例:月に〇万円貯める)を設定するなら、どう確認していくか?
最初から完璧を目指す必要はありません。まずは負担にならない範囲でルールを決め、慣れてきたら少しずつ見直しをかけていくのが良いでしょう。
妻「じゃあ、連携できるアプリを試してみようか。入力とかは私がやってみるけど、月に一度、週末に一緒にアプリを開いて、今月の家計を見てみない?」 夫「うん、そうしよう。いつものカフェでコーヒーでも飲みながら見るのはどう?」「もし入力忘れちゃったりしても、お互い責めないようにしようね」 妻「そうだね、無理なく続けるのが一番だもんね」
続けるためのヒント
夫婦で家計管理ツールを継続していくためには、いくつかのヒントがあります。
- 完璧を目指さない: 最初からすべての支出を正確に記録しようと気負いすぎると疲れてしまいます。まずは大きな支出から記録するなど、できる範囲で始めることが大切です。
- 定期的に振り返る時間を持つ: 月に一度など、決めたタイミングで夫婦で一緒にツールを開き、家計の状況を確認しましょう。この振り返りの時間が、話し合いを深める大切な機会となります。
- お互いを褒め合う: 家計の改善が見られた時はもちろん、一緒に家計を見ようと努力したこと自体を認め合い、感謝の言葉を伝えましょう。「今月は目標通りにできたね、すごい!」「忙しいのに一緒に見てくれてありがとう」といったポジティブな声かけが、続けるモチベーションになります。
- 無理のない範囲で目標を設定する: 家計が見える化できたら、次は貯蓄目標などを設定してみるのも良いでしょう。ただし、達成が難しすぎる目標は挫折に繋がります。夫婦で話し合い、現実的な目標を設定することが重要です。
まとめ
夫婦で家計管理ツールについて話し合い、活用を始めることは、お金の「見える化」を通じて、漠然とした将来の不安を具体的な現状把握に変え、対策を考えるための有効なステップです。
完璧な家計管理を目指すことよりも、夫婦で協力して家計に向き合う時間を持つこと、お互いの状況を共有し理解を深めること自体に大きな意味があります。
家計管理ツールを共通ツールとして活用することで、お金に関する話し合いがスムーズになり、夫婦間の信頼関係をさらに深めることができるでしょう。ぜひ、今日からでも、穏やかな気持ちで夫婦の家計について話し始めてみてください。