共働き夫婦がスムーズにお金の話を始めるには？収入共有と家計管理のステップ
夫婦で共働きをしていると、それぞれに収入があるため、お金の話を先送りにしてしまいがちかもしれません。お互いに忙しく、ゆっくり話す時間がないという方もいらっしゃるでしょう。しかし、そのままにしておくと、家計の全体像が見えにくくなり、将来に向けての貯蓄や資産形成について、漠然とした不安を抱えることにつながる可能性があります。
共働きだからこそ、夫婦で積極的にお金について話し合い、共通の認識を持つことが大切です。それは、単にお金を管理するというだけでなく、お互いの働き方やライフプラン、将来の夢を共有し、夫婦の絆を深める貴重な機会にもなります。
ここでは、共働き夫婦がお金についてスムーズに話し合いを始めるためのステップと、具体的な家計管理の方法について考えていきます。
なぜ共働き夫婦こそお金の話が必要なのでしょうか
共働きの場合、家計の収入源が複数になるため、一見すると経済的に余裕があるように感じられるかもしれません。しかし、それぞれが収入を得ていることで、お互いが相手の収入や支出について把握しにくくなるという側面もあります。
- 家計の全体像が見えにくい どちらか一方の収入で生活費を賄い、もう一方の収入は貯蓄や趣味に使うといったスタイルは多いですが、全体として「いくら収入があり、いくら使っていて、いくら貯まっているのか」が共有されていないと、必要な貯蓄額や投資について計画的に進めることが難しくなります。
- 将来の目標設定が曖昧になる 「いつまでに」「何のために」「いくら」貯める必要があるのか、夫婦で共通の目標がないと、日々の支出管理も漫然としたものになりがちです。マイホーム購入、子供の教育費、自分たちの老後資金など、将来に向けた具体的な目標を共有することが、家計管理の重要な動機付けになります。
- 予期せぬ事態への対応 どちらかの収入が減少したり、予期せぬ大きな支出が発生したりした場合に、慌てず対応するためには、日頃から夫婦で家計の状況を共有しておくことが不可欠です。
これらの課題を乗り越え、夫婦で安心して将来を迎えるために、積極的にお金の話を始めることが推奨されます。
スムーズに話し合いを始めるための準備
いざお金の話を始めようと思っても、「どう切り出せばいいか分からない」「相手に重い話だと思われたくない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。まずは、リラックスして話せる雰囲気づくりから始めましょう。
- 話し合いの目的を明確にする 「〇〇について現状を共有したい」「今後のことについて少し相談したい」など、具体的に何のために話したいのかを自分の中で整理しておくと、建設的な話し合いにつながります。例えば、「将来の教育費について、今の状況を共有したい」といった具体的なテーマを設定します。
- 場所と時間を選ぶ 落ち着いて話せる場所を選びましょう。自宅のリビングや、少し気分を変えてカフェなども良いかもしれません。また、お互いが疲れていない時間帯や、時間に余裕のある日を選ぶことも大切です。アポイントを取るような感覚で、「来週末に少し時間をもらえないかな？今後の家計について話したいことがあるんだ」と事前に伝えておくと、相手も心の準備ができます。
- リラックスできる雰囲気をつくる 美味しい飲み物を用意したり、好きな音楽を流したりするなど、会話が弾むようなリラックスできる雰囲気をつくると良いでしょう。
収入共有と家計管理の具体的なステップ
話し合いの準備ができたら、いよいよ具体的なステップに進みます。
ステップ1：現状把握とお互いの情報共有
まずは、お互いが把握している収入、支出、貯蓄などの現状を共有することから始めます。これは、相手を評価したり責めたりするためのものではありません。あくまで、夫婦として家計の全体像を把握するための第一歩です。
- それぞれの月々の収入（手取り額）
- おおまかな月々の支出（何にいくらくらい使っているか）
- 現在の貯蓄額や保有資産
- 抱えているローンや借金（もしあれば）
これらを全て正直に共有することで、夫婦二人で初めて家計のスタートラインに立つことができます。
ステップ2：支出の分類と見える化
次に、具体的な支出の内訳を把握し、家計を見える化します。家計簿アプリや表計算ソフトなど、ツールを活用するのも有効です。
- 固定費の把握: 家賃・住宅ローン、通信費、保険料、サブスクリプションサービスなど、毎月決まって発生する費用をリストアップします。
- 変動費の把握: 食費、水道光熱費、日用品費、交通費、交際費など、月によって変動する費用を把握します。
- 無駄の特定: 見える化することで、夫婦ともに把握していなかった無駄な支出や、削減可能な費用が見えてくることがあります。
「この通信費、もっと安くできないかな？」「食費が少し多いみたいだけど、何を見直せそう？」といったように、具体的な項目について二人で確認します。
ステップ3：将来の目標設定
家計の現状が見えたら、夫婦で将来の目標について具体的に話し合います。
- 数年以内に達成したいこと（例：車の購入、旅行資金）
- 中期的な目標（例：マイホーム購入、子供の教育資金）
- 長期的な目標（例：自分たちの老後資金、資産形成）
これらの目標に対して、「いつまでに、いくら必要か」を具体的に設定することで、必要な貯蓄額や投資額が見えてきます。例えば、「子供が大学に入学するまでに〇〇万円必要なので、年間〇〇万円貯蓄しよう」といった具体的な計画を立てます。
ステップ4：役割分担と管理方法の決定
共働きの場合、家計管理の方法は様々です。夫婦で話し合い、お互いの働き方や性格に合った方法を決めましょう。
- 収入を合算して一括管理: 二人の収入を一つの口座に入れ、そこから支出を管理する方法。全体像を把握しやすいメリットがあります。
- 費目別に分担管理: 一方が固定費、もう一方が変動費を担当するなど、費目ごとに管理を分担する方法。
- 共通口座と個人口座の併用: 共通口座に一定額を入れ、残りは個人で管理する方法。個人の自由度も保ちやすいです。
どの方法を選ぶにしても、お互いが家計の状況をいつでも確認できる仕組みを作っておくことが重要です。
ステップ5：定期的な見直しと情報共有
一度話し合って終わりではなく、定期的に家計の状況や目標の進捗について話し合う機会を設けることが大切です。月ごと、四半期ごと、年に一度など、無理のないペースで設定します。
「今月の家計はどうだった？」「目標に向けて順調かな？」といった短い会話でも構いません。常に情報を共有し、必要に応じて計画を見直すことで、変化するライフスタイルや経済状況にも柔軟に対応できます。
話し合いの際の具体的な話し方・聞き方のヒント
お金の話はデリケートな話題になりがちです。感情的にならず、お互いを尊重しながら話し合うためのヒントです。
- 「私はこう思う」を主語に話す 「あなたはいつも〇〇だ」のように相手を主語にすると、責められていると感じさせてしまいます。「私は△△について少し心配している」「私は〇〇のために□□したいと思っている」のように、自分の気持ちや考えを伝えるように心がけましょう。
- 感謝の気持ちを伝える 家計は夫婦二人の協力で成り立っています。「いつもありがとう」「おかげで助かっているよ」など、日頃の感謝を伝えることで、話し合いも前向きに進みやすくなります。
- 相手の意見を最後まで聞く 自分の意見を主張するだけでなく、パートナーの意見や考え、不安に感じていることにも耳を傾けましょう。すぐに反論せず、「なるほど、そういう風に考えているんだね」と一度受け止める姿勢が大切です。
- 分からないことは質問する 専門用語や家計の仕組みなど、分からないことがあれば遠慮せずに質問しましょう。理解を深めることが、協力して進める第一歩です。
- 感情的になったら休憩を入れる もし、話している途中で感情的になりそうになったら、「ごめん、少し頭を冷やしたいから休憩しよう」などと伝えて、一時中断することも有効です。時間を置いて落ち着いてから、改めて話し合うことができます。
会話例：
妻「ねえ、今後の家計について、一度二人で話す時間を持てないかな？最近、将来の教育費とか老後資金について少し気になっていて。」 夫「いいよ。いつ頃が都合いい？何か心配なことでもあるの？」 妻「うん、漠然としているんだけど、今の貯蓄ペースで大丈夫かなと思って。一度現状を共有できたら安心するかなって。」 夫「なるほどね。分かった。じゃあ、来週の土曜日の午前中とかどう？カフェに行こうか。」 妻「ありがとう、助かる。じゃあ、お互いのお給料とか、だいたいの支出が分かるものを持って行こうか。」
このような形で、まずは提案してみることから始められます。
将来への不安を解消する視点
夫婦でお金について話し合うことは、漠然とした将来の不安を具体的な「見える化」につなげるプロセスです。そして、問題を二人で共有し、解決に向けて協力し始めること自体が、大きな安心感をもたらします。
共働きであることは、経済的な安定の可能性を高める大きな強みです。この強みを最大限に活かすためにも、夫婦で力を合わせ、計画的に家計を管理していくことが重要です。
初めての話し合いは緊張するかもしれませんが、小さな一歩からでも構いません。お互いを尊重し、将来をより良くするための前向きな話し合いを重ねていくことで、夫婦の関係性はさらに強固になり、将来への不安は少しずつ和らいでいくはずです。
この記事が、共働き夫婦の皆さんがお金について語り合い、安心して将来を歩むための一助となれば幸いです。