夫婦で決めたお金の計画、どう実行・継続する?具体的な仕組みづくりのヒント
夫婦でお金について話し合い、将来に向けた目標や計画を立てることは、漠然とした不安を和らげ、安心感を得るための大切な一歩です。このサイトでも、話し合いを始めるための様々なヒントや、具体的な話し合い方についてご紹介しています。
しかし、「話し合って計画は立てたけれど、なかなか実行できない」「継続するのが難しい」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。計画を立てるだけでなく、それを日々の生活の中で着実に実行し、継続していくことこそが、夫婦で築くお金の土台をより強固なものにします。
ここでは、夫婦で決めたお金の計画やルールを、無理なく実行し、継続していくための具体的な仕組みづくりについて考えてみましょう。
なぜ、話し合って終わりになりやすいのでしょうか?
夫婦で話し合った後、計画の実行や継続が難しくなるのには、いくつかの理由が考えられます。
- 計画が曖昧なままになっている: 「貯金する」「節約する」といった目標は立てたものの、「いつまでに」「いくら」「具体的にどうやって」といった部分が明確になっていないと、行動に移しにくくなります。
- 役割分担が不明確: 誰が何を担当するのか、どちらかが主に家計管理を担うのか、それとも分担するのかなど、具体的な役割が決まっていないと、どちらかに負担が偏ったり、行動が滞ったりすることがあります。
- 「見える化」や確認の仕組みがない: 計画通りに進んでいるか、あるいは遅れているのかを夫婦で共有する仕組みがないと、問題に気づきにくく、改善の機会を逃してしまいます。
- 一方的な努力になっている: 夫婦の一方だけが計画実行のために努力し、もう一方が無関心であったり非協力的であったりすると、継続のモチベーションを保つのが難しくなります。
これらの課題を克服するために、計画の実行と継続を支える具体的な仕組みを築くことが重要です。
計画を着実に実行・継続するための具体的な仕組み
夫婦で話し合って決めたお金の計画を実行し、継続していくためには、単なる目標設定に終わらせず、日々の行動に落とし込むための工夫が必要です。
目標や計画を「見える化」し、共有する
話し合った内容を、具体的な金額、期日、目的とともに書き出してみましょう。 例えば、「教育資金として、子どもが10歳になるまでに100万円を貯める」「老後資金のために、毎月夫婦で合計3万円を積立投資に回す」といった具体的な目標です。 これらの目標や、そこに至るための具体的な行動計画(例:毎月〇万円を貯蓄用口座に移す、固定費を見直す)を、夫婦のどちらでもすぐに確認できる形で「見える化」します。
- 具体的な方法:
- 共有の家計簿アプリや、Googleスプレッドシートなどのオンラインツールを活用し、いつでも進捗を確認できるようにします。
- リビングなど目につく場所に、簡単な目標リストを貼っておくのも良いかもしれません。
- 「いつまでに、いくら、何のために」を明確に記録することが大切です。
役割分担を明確にする
家計管理には様々なタスクがあります。日々の支出の記録、請求書の支払い、貯蓄用口座への入金、投資状況の確認などです。これらのタスクを夫婦でどのように分担するかを具体的に決めます。
- 具体的な方法:
- お互いの得意なことや負担にならない範囲で役割を決めましょう。例えば、デジタルツールの操作が得意な方が家計簿アプリへの入力、忘れずに支払いができる方が請求書の管理、といった具合です。
- どちらか一方が主に担当する場合でも、もう一方は「一緒に取り組んでいる」という意識を持ち、時々内容を確認したり、感謝の言葉を伝えたりすることが大切です。
定期的な「振り返り」の時間を設ける
計画を立てただけでは、進捗状況が把握できません。定期的に、夫婦で一緒にお金の状況を確認し、計画通りに進んでいるかを振り返る時間を持ちましょう。
- 具体的な方法:
- 月に一度、あるいは四半期に一度など、無理のない頻度で「お金の共有会」を設定します。
- 長時間の話し合いである必要はありません。15分や30分でも構わないので、家計簿を見ながら「今月は計画通りに進んだね」「ここは少し使いすぎたかも」「来月はこれを意識してみようか」といったように、現状を共有し、次月へのアクションを確認します。
- この時間は、お互いを責めたり非難したりする場ではなく、あくまで「現状把握と共有」の場とすることが重要です。
うまくいかない時のルールを決めておく
計画通りに全てが進むとは限りません。予期せぬ出費があったり、収入が減ったり、あるいは単純に忘れてしまったりすることもあるでしょう。そんな時、どうするかをあらかじめ夫婦で話し合っておくと、スムーズに対応できます。
- 具体的な方法:
- 計画通りにいかなかった原因を、冷静に共有することから始めます。
- 「なぜできなかったか」を追及するのではなく、「どうすれば次からできるようになるか」「計画自体を見直す必要があるか」といった前向きな視点で改善策を一緒に考えます。
- 「計画から〇%以上ずれたら話し合う」「特別費が発生したらすぐに報告・相談する」といった、簡単なルールを決めておくのも有効です。
- 困難な時こそ、夫婦で協力する姿勢を崩さないことが大切です。
小さな達成感を味わう
計画通りに実行できた時や、目標を達成できた時には、夫婦で一緒に小さな達成感を味わう機会を設けましょう。これは、継続のための大きなモチベーションになります。
- 具体的な方法:
- 「〇万円貯金できたら、少し良い外食に行く」「1年間計画通りにできたら、旅行に行く」など、目標達成度に応じた「ご褒美」をあらかじめ設定しておきます。
- ご褒美は高価である必要はありません。夫婦で一緒に楽しむ時間そのものが、かけがえのないご褒美となります。
- お金の話ばかりでなく、たまには計画通りに進んだことをお互いに労い、感謝の気持ちを伝えることも大切です。
会話例:実行・継続を支えるコミュニケーション
これらの仕組みを支えるのは、日々のコミュニケーションです。いくつか会話例をご紹介します。
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計画の具体化と共有の会話例: 「来年〇〇が生まれる前に、貯蓄をあと50万円増やしたいんだけど、一緒に考えない?今の貯蓄ペースだと少し厳しいから、毎月あと3万円貯めるにはどうしたら良いか、シミュレーションしてみようか。」 「そうだね、いいね。具体的にどういう方法があるか、調べてみようか。家計簿アプリで支出も見直してみるね。」
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進捗確認の会話例: 「今月も計画通りに貯金できたね!先月少し調整したのが良かったね。」 「うん、頑張った甲斐があったね。この調子で続けられると安心だね。」
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計画変更が必要になった時の会話例: 「来月、急な出費がありそうで、目標額の貯金が難しくなりそうなんだ。どうしようか?」 「わかった。無理に目標額を貯めようとせず、来月は可能な範囲でやって、足りない分は再来月以降で調整できないか、また一緒に考えてみようか。急な出費は仕方ないよ。」
継続を支える日々の心がけ
仕組みづくりも大切ですが、それを動かすのは夫婦の信頼関係と、お互いを思いやる気持ちです。
- 感謝やねぎらいの言葉を伝える: 家計管理や計画実行のために努力してくれている相手に、「ありがとう」「お疲れ様」といった感謝やねぎらいの言葉を伝えることは、モチベーションを保つ上で非常に重要です。
- 一緒に取り組む姿勢を忘れない: どちらか一方に任せきりにせず、「私たちはチームだ」という意識を持って、一緒に目標に向かって取り組む姿勢を忘れないことが、継続の力になります。
- お金以外の時間も大切にする: お金の話ばかりになってしまうと、お互いに疲れてしまうこともあります。お金以外の共通の趣味や楽しみを持つことで、夫婦関係全体のバランスを保つことができます。
まとめ:継続が自信と安心に繋がる
夫婦で決めたお金の計画を実行し、継続していくことは、時に難しさを伴うかもしれません。しかし、目標を「見える化」し、役割を分担し、定期的に振り返る仕組みを作り、そして何より夫婦で協力し合う姿勢を大切にすることで、着実に前に進むことができます。
完璧である必要はありません。計画通りにいかないことがあっても、それは改善のための学びの機会です。お互いを責めず、励まし合いながら、できることから少しずつ取り組んでみてください。
夫婦でお金と向き合い続ける時間は、単に貯金額が増えるだけでなく、夫婦の絆を深め、将来への漠然とした不安を具体的な安心感へと変えていく、かけがえのないプロセスとなるはずです。